ケービングとは
「主に大型のパンのクラストがへこんでしまう現象のこと」
です。


程度は控えめですが上記の写真のような状態。
左は上部から、右は断面の写真です。
食パンのようなケースで焼成する大型のパンで起こりやすい現象です。
原因は、焼成不足、パン生地が柔らかすぎる、生地重量とケースのバランスがおかしいなどが挙げられます。
「へこんでしまう」=クラストが柔らかくてパン自体の重みに耐えられない。
食パンはケースに入れて焼成するので、ケースを使わないパンに比べて、クラストへの熱の当たりが弱くクラストが柔らかくなります。
また、パンは焼き上がり、オーブンからでた瞬間から、生地内で膨張していた水蒸気が温度の低い、生地外へ抜けていくためにクラストが湿ってしまいます。
そのためクラストが柔らかくなり、へこみやすくなります。
このケービングを防ぐ方法として「ショック」という手法があります。
日本最大手の日清製粉さんの研究で発見されたそうで、現在ではどこのベーカリーでも(工場でも)行われています。
方法自体は簡単で、焼き上がった食パンをケースごと、10センチくらいの高さから落とすだけ。
文字通り、食パンにショックを与えます。
こうすることにより、クラムを作っている生地内の気泡のうち不安定な気泡、小さすぎる気泡が衝撃で消滅、大きなしっかりとした気泡と合体してクラムがしっかりします。
クラストへの対策というよりも、クラムを少しでもへこみづらくするイメージです。
これにより100%ではありませんが、ケービングの程度を軽減することができます。
焼きあがった食パンを、ケースごと作業台に何度もガンガンとたたきつけている光景をよく見かけますが、あれは「ショック」としてはあまり意味がありません。
ちょっと高いところからケースごと落としてあげるだけで十分です。
ケースごとガンガンたたきつけるのはケースの変形を招くだけです。
「ショック」としてではなく、パンをケースから出すために行っている人もいるんですが、そうするならケースにしっかり油脂を塗った方がはるかに効率的です。