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ストレート法(直捏法)

現代のパンの製法は多種多様で色々な製法が研究、開発されてきました。

 

パンのレシピや本で、様々なことが書かれていますし、どれも間違ってないのですが、とにかく分かりづらい。

分類の仕方もきちんとした明確なルールもありませんし、作る人によって製法の捉え方が違うなんてよくあることです。

 

その中でもよく出てくる、よく使う2大製法があります。

この二つでまぁ大体オッケーじゃね?という製法が「ストレート法」と「中種法」です。

 

「ストレート法とは、すべての材料を一度にミキシングしてパン生地を完成させる製法である」

 

なんかよく分かんないですよねー。

そもそもこういう文章ってパン屋さんの製造現場を想定して作られているので、パン屋で働いてますって人じゃないと分かりづらい。

 

「すべての材料を一度にミキシングして」っていうのが大切で中種法との一番の違いなんですけど、これはミキサーを使ってパンを仕込むことが前提なので、「おうちでよくパン作りしてます」みたいな人には伝わりづらい。

ミキサー完備のご家庭ってあまりないと思います。

大体は手捏ねですよね。

 

で、そのご家庭でするパン作りがまさにストレート法!

「一度にミキシング」は要は仕込みは1回ということです。

だからある程度生地を作ってから油脂は後入れで!みたいなのも手捏ねだからあとから入れるだけで、ミキサーだったら最初から油脂を入れます。

 

仕込み → 第一次発酵(フロアタイム) → 分割 → ベンチタイム → 成形 → 第二次発酵(ホイロ、最終発酵) → 焼成

 

これがストレート法です。

基本のパン作りの工程がストレート法と呼ばれるものです。

パンの製法の中では、分かりやすい製法だと思います。

 

ちなみに、このストレート法が確立されたのは1900年くらい。

第一次世界大戦前です。

このころ、ちょうど工業用パン酵母イースト)が開発されました。

それに伴って、ストレート法が確立されたそうです。

それまでは、発酵力の弱い、今で言う天然酵母(この言い方は嫌いですが)でパンを作っていたので、時間はかかるし安定しないしで、大変だったんだろうなぁと想像できますね。

 

ストレート法のメリットは短時間でパンが作れるということです。

(短時間と言っても大体4時間前後ですけどね。)

また小麦粉などの原材料の風味が強いパンができると言われています。

発酵時間が長いと、どうしても発酵臭(発酵フレーバー)が強くなりがちだから、発酵時間が比較的短いストレート法にはこのような特徴があります。

 

そして、「ストレート法の生地は機械耐性がない」と表現されるんですが、これは生地の伸展性(伸びる力)などが弱く、機械で行うパン作りだとしんどいということです。

これが大事なんですけど、ストレート法は基本的にリテイルベーカリー(街のパン屋さん)でメインで使っている製法です。

手作業や、焼き立てをすぐにお客さんに提供できるリテイルと相性がよい製法ですね。

 

今では機械の技術進歩もすごいので、生地を傷めない優しいタッチの機械で、工場でもストレート法を、やっているかもしれませんが、工場のパンは基本的に機械耐性がある中種法がメインです。

つまりコンビニ、スーパーのパッケージされているパンはほぼ全て中種法で作られたパンということになります。

 

また、ストレート法のカテゴリーの中に「ノータイム法」「短時間ストレート法」という製法があります。

ややこしくなるので、あまり触れたくないんですが。(知らなくても問題なしです。ほんとに。ただプロは知らないといけないかも)

 

ストレート法は基本的にフロアタイム中にパンチをします。

50分P40分とか、60分P30分とかが多いですね。

ただ小麦粉の改良、パン酵母の改良、その他製パン研究の進歩により、フロアタイム中にいパンチをしない、「短時間ストレート法」がメインみたいな感じになってますね。

パンの本や、レシピで最も多いですね。

「フロアタイムは1時間です」みたいなやつ。

ただ短時間ストレート法のことを、わざわざこれは「短時間ストレート法です」っていう人はいないと思いますし、逆に「ストレート法」イコール「短時間ストレート」みたいな使い方だったり、そう認識している職人さんも多い気がします。

 


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